当院での施設見学会に来ていただいた学生さんや、採用面接などにおいて、「新人セラピストにどのような人材・能力を求めますか？」といった内容の質問されることがよくあります。

理学療法士に限らず一般的に企業が人材に求めることと言えば、コミュニケーション力、行動力、積極性、問題解決能力、協調性、誠実さ、継続力など色々な言葉で表されると思います。もちろん理学療法士という専門職としての知識・技術なども大事な要素だとは思います。

質問をしてくる学生さんの様子を見聞きしていると、学業成績や特に臨床技術に自信がなくて、のぞみ整形外科が求める技術水準に達していないのではないか？といった不安からの質問なのかなと感じることがあります。
特にコロナ禍で臨床実習が色々な制約を受けながらになってしまっている数年は、そのような印象を受けます。

結論から言うと、私個人は理学療法士の知識・技術、学校の成績について、参考程度にはしますが必ずしも重要度が高い項目としては捉えていません。

理学療法士に限らず、いわゆる専門職は現場に出てからも少しでも早く患者さんの目標が叶えられるように学び続けなければならない職業です。

入職時点では知識・技術が足りなくて当たり前。どんなに学校での成績が優秀だった新人であっても、1年間臨床を経験し学び続けて来た1年先輩の臨床2年生には遠く及びません。
それが臨床5年生や10年生の先輩が相手だとなおさらです。
スポーツ選手のように持って生まれた才能や恵まれた体格のようなものはいりません。患者さんとしっかり向き合い一生懸命その期待に応えようと努力し続けられれば、スタート時点での知識・技術の差はあまり関係ありません。

それよりも大事なことは患者さんや仲間の声や価値観と向き合えること。患者さんの問題解決、または自身の課題解決に向けて、粘り強く継続的に取り組めること。そしてそれらを楽しみながら取り組めること。そういったことが出来そうな子が見学や面接に来てくれた時には「是非採用したい！」と思います。

私は外来リハビリのやりがい・楽しみは何なのかと問われると、「その人の生活を継続しながらどうやって治していくか、どうやって生活の質を改善していくかを患者さんと一緒に取り組めること」だと思っています。
手術や入院といった治療はその人の生活を一旦完全に止めて集中的な治療を行います。もちろんそれが必要な方もいますが、その何倍もの多くの人が手術に至るほど重症ではないけど生活の様々な場面で症状に悩まされ、やりたいけど・やらなきゃいけないけど思うようにできずに困っている人たちがたくさんおられます。
仕事や家事、育児、介護、学校、部活。週末の大事な試合や大好きな旅行など。やらなければいけないこと、出来たら人生が豊かになること。出来ない理由・環境も様々です。腰が痛いと言ってもそれによって何に困っているか、何ができるようになりたいかもまた様々です。
「足の靱帯を傷めています」と診断されて「じゃあ今度の試合はどうしたらいいの？出られるようにするには何をしたらいいの？」 どのような形でそれらやりたいことを中断せずに改善させていけるか。
そのための治療や指導、説明、提案をしながら患者さんと一緒にリハビリを進めていくこと。それが私自身外来リハビリの現場に身を置く者としてのやりがい・楽しみになっています。

少し話が回り道してしまいましたが、だからこそ患者さんの声や価値観と向き合うことができ、その解決に向けて自己研鑽を積みながら粘り強く継続的に取り組めること。そしてその過程や成果を楽しめること。それがのぞみ整形外科で働くセラピストとしてとても重要なことだと思っています。
それができる人はきっと一緒に働くスタッフ同士にも同じような行動ができるはずですし。

われわれのぞみ整形外科セラピスト部のリーダー達の会話の中ではよく「あの子のぞみっ子ぽいねぇ」といった言葉が出てきます。
「のぞみっぽい」・「のぞみっ子」 この謎の言葉にはっきりとした定義はないのですが、おそらく言葉にするとこんな感じなのではないだろうかと、今この記事を書きながら思っているところです。

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